1) 植田義夫ほか(1987): 東京湾・南関東周辺の重力異常と深部構造, 水路部研究報告, 22, pp.179−206.
1985年に東京湾の船上重力測定の結果をまとめている。調査精度は±1〜3.5mGalとされている。
これらのデータは、各種補正ののち、地質調査所(1985)のブーゲー重力異常図と結合され、図2−1−1のような図が描かれている。これによると、市原市の低重力部分は、陸上部のみで閉じておらず、東京湾北東部分にかなり張り出した形になっている。
2) 佐藤比呂志ほか(2003): 大深度弾性波探査 − 房総半島縦断地殻構造探査(房総2002), 文部科学省「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」平成14年度成果報告書, pp.7−87.
平成14年度大都市大震災軽減化特別プロジェクトのうち、大深度弾性波探査として房総半島南端の白浜町から、茨城県鹿嶋市まで房総半島を縦断して実施された反射法・屈折法地震探査の結果をまとめている。
調査測線の南半分の海域10kmと陸域85kmでは、エアガンとバイブロサイスを用いた稠密反射法地震探査が行われている。測線位置と処理後の断面図を図2−1−2, 図2−1−3 に示す。
全調査測線約152kmでは、ダイナマイトを震源とする屈折法・広角反射法が実施され、低重合の時間断面図・初動トモグラフィー解析による速度構造図などがえられている(図2−1−4, 図2−1−5)。
3) 山中浩明ほか(2003):地下構造モデル化の研究 − 三次元速度・Q構造モデル, 文部科学省「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」平成14年度成果報告書, pp.314−337.
これも大都市大震災軽減化特別プロジェクトの一環として行われた研究であり、関東平野における地下構造の情報を整理し、強震動シミュレーション用の三次元地下構造のマスターモデルを構築することを目的として行われた。
入力データとして用いたのは、地下構造調査データと地震記録であり、千葉県が平成10年度から12年度にかけて実施した千葉県西部地域の三次元地下構造モデルも用いられている。
また、後述の三次元地震動シミュレーションについても報告されている。
堆積層中のQ値については、下総地殻活動観測井の記録を用いて伝達関数の同定手法により求め、
Qs = Vs/42
の関係を導いている。
4) 東貞成・佐藤浩章(2003): 千葉県北西部における3次元地震動シミュレーション, 2003年地球惑星関連学会合同大会予稿集, S051−011.
千葉県西部地域の千葉県地下構造調査の成果として作成した三次元速度構造モデルを用いて、三次元地震動シミュレーションを実施した結果について報告されている。
シミュレーションは、三次元擬似スペクトル法を拡張したハイブリッド型計算法による。
計算結果は、特に基盤のやや浅い北部地域で波形がよく再現されているが、南部では過小評価の傾向を示した。
詳細は、3) の中でも報告されている。計算に用いられた物性値とシミュレーションの結果を図2−1−6に示す。
5) 纐纈一起ほか(2003): バイブレータ震源屈折法によるS波速度構造解析:大大特房総測線の解析, 物理探査学会第109回学術講演会論文集, pp.89−90.
平成14年度の大都市圏地殻構造調査房総測線で取得された屈折記録を用いて、バイブロサイス震源近傍で発生する変換S波の解析を行い、堆積層中のS波速度構造を求めた。
図2−1−7に房総測線で取得された変換S波を含む記録例とその解析例を示す。