(3)仮想測線へのデータの投影

今回の屈折法測線は、直線に近いもののやや曲がりくねっている。レイトレーシングのモデリングは、測線は直線であると仮定して行う。ゆえに発震点から受振点へのオフセット距離を直線の仮想測線への投影を行い、解析を行なった。以下にその手法を述べる。

 まず、図2−3−3のように、受振測線が曲がっており、発震点も受振測線からオフセットがあるものとする。仮想測線を選ぶ。今年度の測線では発震点D1とD2を結ぶ直線で設定した。

 この仮想測線上に発震点位置・受振点位置を投影する。発震点−受振点間の直線と投影された直線のなす角度をθとすると、実オフセット距離(X)と投影された距離(X')との関係は、

X'=Xcosθ

となる。これに対して、読み取った初動走時の補正(T)を行なう。表層付近の屈折波でオフセット距離が短い場合は、インターセプトタイム(T)が0と見なせるので、補正された初動走時(T')は、

T'=Tcosθ

となる。インターセプトタイムが0と見なせないような第2層以下の屈折波初動(T)については、

T'=(T−T)cosθ+T

として補正を行なう。ただし、cosθが0.99以上であれば、実用上補正は不要と考えられ、第2層以下についてこの補正が必要なケースは希である。