3−5−4 その他の観測点における一次元シミュレーション

その他の観測点でのシミュレーション結果を図3−48−1図3−48−2図3−48−3図3−48−4図3−48−5図3−48−6図3−48−7図3−48−8図3−48−9に示す。

図3−48−1は、浦安観測点でのシミュレーション結果である。表示方法は図3−47に準ずる。ここでは、三次元速度構造モデルから切出した4層モデルのシミュレーションに加えて、表層部に2層の低速度層がある場合のシミュレーションを行った。表層低速度層については、千葉県水質保全研究所よりN値から換算したS波速度データを使用した。

表層低速度層を加えることにより、シミュレーションでは1Hz付近の振幅スペクトルがより観測値に近づく結果が得られている。また、初動部に続く波形がかなり強く現れる結果になっているが、これは低速度層をブロック状に付加したためだと考えられる。現実には速度変化はもう少しなだらかであろう。なお、この表層低速度層を付加することにより、スペクトル上ではおよそ0.5Hzより高い周波数帯域に違いが見られた。

 ただし、観測波形で15秒付近に見られる多重反射が強振幅になることについては、さらにモデルの検討が必要である。

図3−48−2の行徳観測点でも、表層部低速度層(ここでは1層)を加えた例を追加した。この例では、表層低速度層を加えることにより、より計算波形と観測波形の振幅が近くなっている。

図3−48−3の船橋観測点でも、計算波形の振幅が観測波形の振幅より小さくなる傾向が見られ、表層部低速度層を加えたることにより、計算波形の振幅が観測振幅に近づくことが期待される。

図3−48−4の松戸観測点では、2箇所の観測点で波形が得られているが、両者の振幅は、シミュレーション波形の振幅より強くなっている。

図3−48−5の鎌ヶ谷観測点でも、奥田・他(1981)により近傍で表層部分のS波速度が測定されており、この表層速度を追加することにより、より観測された振幅に近づくことが分かった。

図3−48−6の白井観測点では、千葉県およびK−netによる2箇所での波形が得られているが、両観測波形は互いに似ているが、シミュレーション波形とはやや異なる結果になっている。

図3−48−7の流山観測点では、観測波形の振幅が他観測点と比べて異常に大きく、設置条件・機械の特性等を検討する必要があると思われる。振幅を別にすると波形は良くよく似ており、表層部分に振幅異常を生ずるような極端な低速度層があるとは考えにくい。

図3−48−8の沼南観測点・図3−48−9の我孫子観測点では、観測波形のエネルギーが比較的S波初動部分に集中する傾向があり、他観測点と比べて計算波形とは一致しなくなる傾向がある。