極小アレーで扱う浅層構造では速度逆転層が、よく存在することがある。現状では微動アレー探査のみで速度逆転層などの構造を出すのは難しいと考えられる。ただし、今回の調査では速度逆転層が推定されるKMG、SMUの観測分散曲線が、特に速度逆転層の見られないGYT、ABKのそれと違って異常分散(周波数が大きくなるにつれて位相速度が速くなる)や分散曲線が水平になる状態が見られた。そのために、こういう分散曲線が得られた場合には速度逆転層の可能性も推定できると考えられる。いずれにせよ、今回は4点での観測だったので今後観測時例を増やして普遍性を得ることが必要と考えられる。
極小アレーは、単独で浅部構造探査に用いる用途もあるが、観測位相速度曲線がスムースに繋がるようにアレー配置を設定すれば深部に着目したアレー探査結果と統合して用いることができると考えられる。
・千葉県北部・北西部地域において、極小アレー観測によるS波速度400m/sec以上の工学的基盤面を把握する微動アレー調査では、設定するアレー半径を48m、24m、12mおよび6m(場合によっては3mも追加)として観測を行う必要がある。