(2)基盤深度について

表3−2および表3−3にNo.5(FNC)およびNo.26(FNB)の2地点における大アレー(最大アレー半径2,000m)の地震計設置点(計7箇所)の座標および反射法地震探査等の結果から求めた基盤深度の一覧をそれぞれ示す。この表からNo.5(FNC)地点の推定される基盤深度(海抜深度)の平均値は2295.7m、標準偏差は117.5mであり、No.26(FNB)地点では平均値2251.4m、標準偏差119.6mであった。図3−29−1にNo.5 (FNC)地点における微動アレーのフリー解析の結果を、図3−29−2にNo.26(FNB)地点の結果をそれぞれ示す。これらの図において、青線は残差最小の候補解、赤線は既存資料や隣接点の結果等を参考として選出した最適解を示す。また、反射法地震探査で求めた基盤深度についても示してある。微動アレー調査においては半径2,000mのアレーを設定し観測を実施したため、求められた基盤深度(S波速度構造)は、設定したアレー内での平均値となることを考慮に入れれば、微動アレー調査の結果と反射法地震探査で求めた結果とは整合性があるものと判断する。

・また、微動アレーで求めた結果と反射法地震探査、重力探査等で求めた結果とが必ずしも一致しない地点もある。これは、必ずしも均質でない地下構造を対象とする場合にあり得ることと考えるが、その原因として、

@「反射法地震探査は測線を設定し、重合法で測線直下の深度を得ていること」と「微動アレー調査は半径2,000mのアレーを設定し、その範囲内の構造を平均化していること」との違い、

A「反射法地震探査は比較的波長が短く、主に層境界に「直交」するように伝わる波を利用すること」と、「微動アレー調査は比較的波長が長く、主に層境界に「平行」に伝わる波を利用すること」との違い、

が考えられる。