@基盤の深度を固定する拘束条件を付加させた解析結果
A基盤のS波速度を固定する拘束条件を付加させた解析結果
B反射法地震探査等で求めた4層モデルにおいて、各深度を固定する拘束条件を付加させた解析結果
C層数と探索範囲を指定するだけのフリー解析結果
の4種類のケースによる結果の比較・検討を行った。
図3−23−1,図3−23−2,図3−23−3,図3−23−4,図3−23−5,図3−23−6,図3−23−7,図3−23−8,図3−23−9,図3−23−10,図3−23−11,図3−23−12,図3−23−13,図3−23−14,図3−23−15,図3−23−16,図3−23−17,図3−23−18,図3−23−19,図3−23−20,図3−23−21,図3−23−22,図3−23−23,図3−23−24,図3−23−25,図3−23−26に全26地点の位相速度曲線とS波速度構造を、
図3−24−1,図3−24−2,図3−24−3,図3−24−4,図3−24−5,図3−24−6,図3−24−7,図3−24−8,図3−24−9,図3−24−10,図3−24−11,図3−24−12,図3−24−13,図3−24−14,図3−24−15,図3−24−16,図3−24−17,図3−24−18,図3−24−19,図3−24−20,図3−24−21,図3−24−22,図3−24−23,図3−24−24,図3−24−25,図3−24−26には全地点でのS波速度構造を比較した結果をそれぞれ各地点ごとに示す。
@のケース
・反射法地震探査、重力探査などのデータから求めた基盤深度の値を、微動アレー調査の逆解析における拘束条件に付加した場合(@の基盤深度固定)は、一見不都合がなさそうな整合性のとれた結果(10個の候補解のまとまりが良く、相対的にバラつきの小さな結果)であると判断される。しかし、図3−23−1、図3−24−1で示したNo.1(TDL)地点および図3−23−10、図3−24−10で示したNo.10(YAG)地点などでは、三浦層群の上面に相当する境界が区分されず、上総層群と三浦層群とを含めた地質構造で解析された結果となった。
Aのケース
・基盤のS波速度を固定した場合(Aの場合)の調査結果について、No.25(SMU)地点におけるデータを用いて逆解析を実施した。図3−25に基盤のS波速度を3.05km/secで固定した試行回数10,000回×実験10回のfGA探索結果を、図3−26には比較のために、同地点でのフリー解析の結果を示す。基盤の深度に着目すると、そのバラつきの程度はフリー解析の場合と比べて、さほど変わらない結果であった。このため、基盤S波速度を固定し逆解析を実施しても、フリー解析より基盤深度の決定に関して特に優位であるとは言い難く、基盤深度が収束するような傾向は認められなかった。また、固定するS波速度を2.60km/sec、3.50km/secとした場合においても同じ傾向を示す結果であった。
Bのケース
・反射法地震探査等で求めた4層モデル構造で深度の拘束条件を付加させた場合(Bの場合)は、前掲した図3−23−1、図3−24−1 No.1(TDL)地点の結果から、位相速度曲線において観測値と計算値との間に相当のギャップが存在した。これは、本来6層モデルで近似されると予想できる地下構造に対し、無理に4層モデルと拘束して解析した結果を示した例であり、ある周波数領域において残差が異常に大きくなり、歪みが顕著に現れた結果となった。
Cのケース
・歪みが生じないような拘束条件を無理に付加させないフリー解析(Cの場合)で行い、試行回数10,000回の演算によって10個の候補解を選出し、この結果の中から既存資料等を参考にして最適解を決定する方法である。結論として、この方法が微動アレー調査における逆解析の方法としては最良の方法であることが判った。
・この方法によって求めた最適解を図2−59に並べて示してあるが基盤のS波速度に関しては十分に決め切れていない。それは、このパラメータの感度が小さいためと考えられる。そのために基盤のS波速度には、ばらつきが見られる。探査結果を使う側の立場に立てば基盤のS波速度が、ほぼ均一であることが予想されるときには、そのような解析結果を提示した方が便のよい場合も考えられる。そこで、参考資料として方法Aの類似であるが基盤S波構造を、ほぼ固定(3.0〜3.1km/s)した解析を行ってみた。各観測点における結果図は別冊資料集に付した。また、この結果を図2−59で行った表示方法を踏襲して表示したものを図3−27に示す。全体的にはS波速度のばらつきが小さくなった結果が得られたが、No.10(YAG)やNo.11(MTG)等では基盤深度がフリー解析比べて浅く解析された候補解しか得られなかったので反射法結果との整合性が悪い結果が得られた。これも@、Bのケースと同様に、拘束条件を加えた事による歪みと考えられる。