(3)各種地震計の性能比較

No.26(FNB)地点において、固有周期7秒のLENNARTZ地震計およびMTKV地震計と、固有周期8秒のPELS地震計の3種類の地震計による比較観測を実施した。微動アレー調査の手法を適用するにあたり、地震計の種類の違いによる作業性、特性の比較、位相速度解析結果に与える影響、長周期成分側のデータの取得の可否等を検討した。以下にその結果をまとめる。

・ハドルテストの結果、

LENNARTZ地震計が最もスペクトルの安定性、位相の一致性やコヒーレンスが良く、次いでMTKV地震計であり、PELS地震計は長周期成分側(低周波数領域)にばらつきが認められた。

・位相速度解析の結果、

各地震計の分散曲線の形状は地震計の種類には関係なく、ほぼ一致しており、求めた周波数範囲はLENNARTZ地震計が最も低い周波数まで伸びていた。

・作業性

ハドルテストにおける地震計の設置作業、操作性、本観測時の運搬、作業等に要した時間から判断して、LENNARTZ地震計、MTKV地震計が観測に適する地震計であると判断した。

・総合判定

以上の結果から、微動アレー調査において使用する地震計として、固有周期が5〜8秒の範囲であるならば、3種類の地震計の中ではLENNARTZ地震計が最も実用的であると判断した。

なお、固有周期の長い(例えば、10秒計)地震計ほど、地下深部の情報を捉えることができるが、取り扱いの難しさがあり、実用的ではない。また、深度2,000〜3,000mを対象とした調査では、これまでの結果から、8秒よりも短い固有周期で十分有効なデータが取得できている。