(2)観測方法

観測は以下の手順で行った。図2−40に作業手順のフローを示す。

・都市現況図(1/2,500)により調査地点(地震計設置点)の予備設定を図上で行い、それをもとに観測場所の下見によって設置場所の確保の可能性や車両、工場振動、野外重機等の非定常ノイズ(以後「非定常ノイズ」という)源の有無等を確認した。

・調査地点(地震計設置点)が私有地の場合は、所有者に許可を求めた。また道路を使用する場合は、各市町村の警察署に道路使用許可申請を行った。

・No.25(SMU)下総地殻活動観測井での観測に際し、調査実施内容、設置場所や日程等を国立防災科学研究所に事前に説明して許可を得た。

・観測は各点独立記録方式を採用し、地震計1台ごとに記録器を設置して微動データを収録した。観測に際しては地震計の水平を保ちつつ充分に地面と接するよう注意した。

・観測に先立ち、使用する機器を近接設置して5分程度の微動観測を行うキャリブレ−ション(ハドルテスト)を実施し、コヒ−レンス等を求めて使用機器の感度特性等が揃っていることをチェックした。中・小アレーの観測で実施したハドルテスト記録の例を図2−41に、特性比較の結果を図2−42に示す。

・デ−タのサンプリング間隔(周波数)は、中・小アレーの観測および極小アレー観測で100Hz(10ms)とした。また各地震計による微動観測開始時間の誤差は、2.1ms以下とした。GPSの時刻較正は観測開始前に実施した。

・観測は非定常ノイズの少ない時間帯で行うことを原則としたが、事前調査における非定常ノイズの状況から地震計設置点が、住宅地や農地等、比較的郊外にあるような場所(例として、No.23(NGR)など)では昼間観測とし、鉄道、道路、工場密集地等では深夜観測(例として、No.2(URC)など)とした。また、昼間に観測を実施した地点で特にノイズの多かった場合は、夜間に再観測を実施した。

・中および小アレーの観測時間は基本的に60分間以上とした。平成11年度に実施し た大アレーの観測では、長周期側の波(基盤の深度やS波速度を推定する際に必要である5〜7秒の波)ができるだけ多く含まれるように、すなわち解析に有効なデータをできるだけ多く確保するために、120分間以上の長時間観測を実施した。また、極小アレーの観測においては、ノイズの混入等を見込んで60分間以上とした。

・観測後、デ−タの吸い上げを行い、波形のチェックやスペクトル分析等を行って観測デ−タの有効性を確認した。観測データの品質が劣り、解析に使用できないと判断した場合には、再観測を実施した。

表2−8−1表2−8−2に観測日時一覧を示す。また表2−9に使用機器一覧を示す。