(1)観測波形

P波屈折法発震時に取得された三成分受振器の記録のうち、中央の三成分受振器設置範囲のみ水平成分(インライン成分)に置き換えて表示したものを図2−33−1図2−33−2図2−33−3に示す。

図中では、屈折波と思われる波を赤・青・緑で色分けした。

赤線はP波屈折波、青線は震源近傍でP波から変換したS波屈折波に対応する。緑線は、両者の中間にあり、直線的な波列を示すことから、P波が途中でS波に変換した屈折波であると考えられる。

各発震記録とも、震源近傍には堆積層中のS波屈折波が垂直成分中に見られ、中央の発震点(図2−33−2)では、発震点近傍のS波屈折波を水平成分受振器で確認することができた。

矢切の発震点(図2−33−1)では、水平成分記録中に見かけ速度0.8km/sおよび1.2km/sを示す直線性の良い波が認められた。後に示すのS波レイトレーシングにより、これらの波は垂直成分記録中では見られず、エネルギーとしては比較的弱いと考えられる。