(6)基盤よりも上位の層の構造について
微動アレー調査で、No.25(SMU)地点における下総地殻活動観測井の既存試錐資料との比較の結果やNo.26(FNB)地点における既存試錐資料との対比の結果より、基盤の深度とその上位の層構造は、比較的安定した解として推定できると考えられる。すでに表3−6に示した「大中小3セットアレー地点におけるS波速度一覧」の表より、6層モデル構造では、第1、2層は下総層群(沖積層を含む)に、第3、4層は上総層群に、第5層は三浦層群に、第6層は先新第三紀基盤にそれぞれ対比されるものと推定される。No.1(TDL)、No.6(MKH)、No.10(YAG)、No.17(NGC)、No.25(SMU)およびNo.26(FNB)の6地点で求められた第1層〜第6層のそれぞれのS波速度を比較すると、これらの地点での各層のS波速度値は、ほぼ一致したものである。また、図3−5−1〜図3−5−7(図3−5−1、図3−5−2、図3−5−3、図3−5−4、図3−5−5、図3−5−6、図3−5−7)に示した各地点における既存資料との対比の結果から、千葉県西部域および北西部域の範囲には、同じS波速度をもつような層がある広がりをもって堆積していると考えられる。ここで、No.15(CNT)、No.21(KHK)およびNo.24(NDA)の3地点については、逆解析の結果、5層モデルでのフィッティングが最も適切であるような結果となり、他の6地点の第5層目に相当すると考えられるS波速度(Vs = 1.00〜1.33km/sec)に相当する部分が欠如した5層構造であると推定される。