(2)追加観測地点(No.26(FNB);西船浅間神社)

No.26(FNB)の西船地点もNo.25(SMU)の下総地点と同様に、平成10年度に観測を実施した地点ではあるが、この地点については、昨年度に試みた「周波数別にアレーサイズ(距離)を変数とする空間自己相関係数に最適のベッセル関数の当てはめ」による位相速度の解析結果では、基盤の深度およびS波速度を決定するには満足な値ではなく、再解析を試みた。再解析では、「距離一定で周波数を変数とした時の空間自己相関係数から直接分散曲線を求める」方法を採用し、基盤の深度およびS波速度構造を推定したという経緯がある。

昨年度の調査結果から推定した基盤の深度およびS波速度の信頼性をより確実なものとするために、アレー半径2,000m以上のさらに大きなアレーサイズで追加観測を行い、求まった結果について検証することが必要であった。

このNo.26(FNB)西船地点は、千葉県南部の船橋市から北部の我孫子市に至る南北方向において平成9年に反射法地震探査が行われた測線上に位置しており、その結果からNo.26(FNB)地点では、基盤の深度が約2,500mと推定されている。また、この地点は、昨年度の観測で3種類の地震計を用いての微動アレ−調査を行っており、地震計の違いによる調査結果を比較検討した地点でもある。

すなわちNo.26(FNB)地点は、本調査法が基盤深度3,000m以深においてS波速度構造を把握するのに有効であるか否かについて検討した地点であり、前述した理由により、位相速度の長周期成分の信頼性をさらに確認するとともに、空間自己相関性の限界の把握を目的として追加観測を行った地点である。

アレ−の大きさは、西船橋付近の基盤深度が昨年度の微動アレー調査の結果から2,380mと推定されていることを参考にして、アレ−半径をさらに大きく設定し、最大アレー半径3,000mの二重正三角形で行った。