3層の構造は、堆積層上位の速度およそ1.6km/sの層、堆積層中の速度およそ2km/sの層、見かけ速度5〜6km/sの基盤岩の3つである。
4層の構造を仮定した場合は、これに加えて、堆積層第2層と基盤岩の間にみかけ速度3km/sの層を仮定した。これは、昨年度の屈折法の解析で、基盤岩直上2.8km/sの薄層として考えた層である。
図2−25 に走時曲線の解析結果を示す。
第1層の速度は、それぞれの屈折波の傾斜から1.6km/sと求めた。
第2層の屈折波の走時曲線が交差して読み取れる範囲は、S5とS6の中間、S6とS7の中間の一部分にしかなかった。第2層の速度は2.2km/sと求め、交差範囲での第1層と第2層の境界は解析により求められた。二つの交差部分の間、および交差部分から測線の端までの部分は、反射法地震探査の結果からほぼ水平と推定されるので、直線で内外挿を行なった。
第3層を基盤岩とした場合に走時曲線は、測線中央部分の広い範囲で交差しており、基盤岩速度を5.7km/sと求め、第2層と基盤岩の境界の構造は図2−26 の上図のように求められた。
第3層を3km/s層とした場合、第2層と第3層の境界は図2−26 の下図のようになり、これは3層モデルで求めた基盤岩の構造よりも全体が深くなってしまう。これに対して第4層(基盤岩)の構造を求めると深度が逆転してしまい、正常な結果を得ることができなかった。
誤差も含んでいることが考えられるが、少なくともこの3km/sの屈折波は、堆積中のみを伝わってきた屈折波として説明することは困難である。