長距離屈折波データに対しタイムターム法の屈折波静補正の手法を適用することの問題点は、
・屈折波が受振点鉛直方向から入射していると仮定しているため、真の構造はマイグレーションをする必要がある。
・屈折面の傾斜に起因する異なる方向からの屈折波のみかけ速度差がきちんと考慮されていない。
である。しかし、今回の基盤岩上面の構造はほぼ単傾斜でその傾斜も緩やかであることが反射法の結果からも分かっているため、一応近似的な結果を求めることができた。この際、表層(堆積層)の速度としては、P波反射法地震探査から求まる重合速度のおよその傾向を反映させた。
この手法から求められた基盤岩速度は、およそ5.6km/sであり、調査測線全体で大きな変化はない。基盤岩上面の構造としても、反射法地震探査のマイグレーション深度断面図(図2−17)とよく一致している。