P波反射法地震探査の解析結果(図2−25−1、図2−25−2)に、山水ら(1993)の下総深層地殻活動観測井付近での反射法地震探査の結果を同一スケールで重ね合わせたものを図3−2に示す。この部分は、当初の計画段階から発震を行なわない仕様になっていたため、今回の反射法断面図は重合数が極めて低く信頼性が乏しい。従って、このような合成処理をおこなうことが解釈の参考になる。
特徴的な反射波境界および推定される断層について解釈を行った結果を図2−11−1、図2−11−2に示す。図中に示した数値は、反射法処理により求めた地層のP波区間速度である。下総観測井での先新第三系上面までの主要地層境界深度は、鈴木(1996)などを参照し、そこを出発点として解釈図面を作成した。これを図3−3に示す。
以上の結果から次のことが明らかとなった。
・先新第三系基盤の深度は、測線南端で約2000m、測線北端で約1000mとなり、その間で大きな落差はないが、測線の中央部(CDP No.800付近)を境として南側で傾斜がやや急になっている。北側で基盤深度が浅くなる傾向は、既存ボーリング資料や重力異常図のコンターの傾向と一致する。
・先新第三系基盤からの反射は、測線南半部では部分的に不明瞭なところがある。これは、測線が交通量の多い道路を通っているためノイズレベルが高いこと、および民家・商店の前での発震が多く、充分な震源の出力レベルが得られた発震点の位置が偏っていることに起因する。
・測線北半部では、一部を除いて交通量が少なく、かつ基盤深度が次第に浅くなっているため、良好な記録が得られている。
・手賀沼やや北の位置(CDP No.800付近)に、基盤の凹凸が顕著な部分がある。また、この位置で、深度およそ400m以深の上総・三浦層群相当層中で反射波の南北方向の連続性が悪い。
・地表から深度300〜400m程度の下総層群のP波速度は、1.6〜1.8km/s程度で測線方向への有意な変化は見られない。上総層群に相当する深度でのP波速度は、測線南端で1.8から2.5km/s、測線北端で1.8から2.2km/sまで深度とともに増加している。三浦層群に相当する基盤岩直上のP波速度は、測線南端では3.0km/s程度、測線北端では2.5km/s程度である。