(2)求められたS波速度構造(SPAC法)

S波速度構造の推定には、最も長周期まで位相速度の求められたレナ−ツの地震計の結果を使用した。

初期モデルは下総の結果と反射法地震探査結果を参考に設定し、図2−76に示したfGAによる探索を実施し、5つの候補解を得た。ここから候補解の「標準偏差を重みとして平均操作(fGAの結果について、各層厚及びS波速度を少しずつ変化させながら観測値に近づける作業)」を行い、順解析によって図2−77の構造を得た。最下層の深度が、約2,400mと反射法より推定されていることとその上位層の位相速度が1.25km/secと非常に遅いことから、図2−78に示すような基盤深度の検討を行い、基盤の中の最上部に風化層のS波速度1.7km/secの層を持つ解を採用した。各層のS波速度及び層厚は表2−8のとおりである。最下層として深度2,500m前後に約2.5km/secのS波速度が求められた。

しかし、この値は下総観測井で既に実施されたVSP結果から求めたS波速度よりかなり小さい。この点を重視し、再解析を試みた。