(1)観測された位相速度(SPAC法)

本地点では、表2−5に示したように3種類の地震計(レナ−ツ、MTKV、PELS)を用いて2月17日から21日にかけてSPAC法による観測が行われた。さらに3月14日に半径2,000mの追加アレ−の観測を実施した。観測前にはハドルテストを行い、機器の一致性を確認した。図2−69−1図2−69−2図2−69−3に3種類の地震計のハドルテスト結果の一例を示す。レナ−ツ地震計が最もスペクトルの安定性、位相の一致性やコヒ−レンスが良く、次いでMTKVの順でPELSが最も一致性が悪く、調整の困難さを反映した結果となっている。なお、地震計の設置に要する時間は、調整の必要のないレナ−ツおよびMYKVは1カ所あたり約5分、設置時に調整を必要とするPELSは、約40〜50分である。全ハドルテスト記録は別冊資料に付した。

図2−70−1図2−70−2図2−70−3は3種類の地震計の観測記録例で、図2−71−1図2−71−2図2−71−3はその観測記録のパワ−スペクトル例である。スペクトルパタ−ンが観測中ほとんど変わらず時空間定常性を確認できる。3種類の地震計の全観測記録およびパワ−スペクトルは別冊資料に付した。

図2−72はレナ−ツの各地震計間の距離による空間自己相関関数(図中上段)と空間自己相関係数(図中下段)の一例である。本地点で得られた空間自己相関係数も下総と同様に概ね滑らかなベッセル関数型の変化を示しており、観測結果の信頼性は高いと判断される。

図2−73はレナ−ツの各周波数毎の最小二乗法によるベッセル関数のフィッティング例である。3種類の地震計の全空間自己相関係数およびベッセル関数のフィッティングは別冊資料に付した。

3種類の地震計の各アレ−サイズ毎の位相速度を図2−74に示す。それぞれの地震計とも周波数約0.24Hz(周期約4.2秒)まではアレ−サイズによるばらつきは認められず、得られた観測位相速度はほとんど一致しており、機器によるばらつきは認められない。今回 求められた位相速度の周波数(周期)範囲が最も広いレナ−ツ地震計に着目して、最終的に統合した位相速度を図2−75に示した。得られた位相速度の周波数(周期)範囲は、0.13Hz(7.7秒)から2Hz(0.5秒)までであった。