(3)既存の調査との対比

図2−64は試錐デ−タとSPAC法によって推定された地下構造の対比結果である。下総および上総層群は各々2層に分帯され、下総層群がVs=0.36〜0.53km/s、上総層群がVs=0.63〜0.87km/s、第5層のVs=1.08km/sの速度層が三浦層群に相当する。先新第三紀基盤のS波速度は今回の結果では求まっておらず、少なくもVs=2.00km/s以上と推定された。

図2−65は、5層モデルで解析した結果である。表2−9に推定した地下構造のパラメ−タを示す。これによると6層構造のときの下総層群下部層と上総層群上部層が統合されて解析され、地層境界の一致性が6層モデルより劣る結果となった。

また表2−10中の右欄に示したVSPの結果と対比すると、Vp/Vsが下総層群で4.4〜3.4、上総層群で3.2〜2.5、三浦層群および基盤で2.5となった。一方下総観測井のVSPデ−タから求めたVp/Vsは下総層群で6.4〜3.5、上総層群で3.9〜2.4、三浦層群で3.0〜1.8および基盤で2.2〜1.7となっている。三浦層群まではVSP結果とほぼ同様な値が得られている。

図2−66は試錐および反射法から得られている基盤深度を用いて理論計算を行ったものである。fGAで得られた計算結果(ただし、この時のS波速度は、VSPで得られているP波速度を利用しているため若干基盤のS波速度が異なる。)とほとんど一致している。

参考までに表2−9に既存の微動アレ−調査結果(松岡,1996)と対比結果を示す。基盤までの深度とそれより上部のS波速度構造はほとんど一致している。長周期成分の位相速度が前述したように推定精度が低いため、この値から求められた基盤のS波速度は採用していない。