図2−56−1、図2−56−2は得られた観測記録例である。図2−57は観測記録のパワ−スペクトル例である。スペクトルパタ−ンが観測中ほとんど変わらず時空間定常性を確認できる。全観測記録およびパワ−スペクトルは別冊資料に付した。
図2−58は各地震計間の距離による空間自己相関関数(図中上段)と空間自己相関係数(図中下段)の一例である。なお空間自己相関関数を方位平均したものが空間自己相関係数である。この空間自己相関係数曲線が滑らかなベッセル関数型の変化を示し、標準偏差幅が狭いほど観測結果の信頼性が高い。また、この空間自己相関係数曲線の急傾斜部に対応する周波数領域において位相速度推定の信頼性が高い。本地点で得られた空間自己相関係数は概ね滑らかなベッセル関数型の変化を示しており、観測結果の信頼性は高いと判断される。
図2−59は各周波数毎の最小二乗法によるベッセル関数のフィッティング例である。図中のエラ−バ−は、採用した空間自己相関係数の標準偏差幅を示している。全空間自己相関係数および各周波数毎の最小二乗法によるベッセル関数のフィッティングは別冊資料に付した。またF−K法では図2−60に一例として示したようにF−Kスペクトルから最大ピ−クおよび可能な限り2〜4次ピ−クの位相速度を求めたがばらつきは大きかった。各周波数毎のF−Kスペクトルは別冊資料に付した。
SPAC法およびF−K法の各アレ−サイズ毎の位相速度を図2−61に示す。
最終的に統合した位相速度は図2−62−1、図2−62−2の左図にそれぞれ示した。F−K法については、最大ピ−クを採用した。得られた位相速度の周波数(周期)範囲は、SPAC法では0.14Hz(7秒)から3Hz(0.33秒)まで、F−K法では0.25Hzから1.3Hzまで求められた。