(2)S波反射法データ取得作業

S波測線は、全線未舗装の町道であり、受振器はすべて道路脇の露出地面に設置した。3成分受振器であるため、水平成分の方向を揃える必要があり、方位磁石を用いて概略受振器のマークが北を向くように設置した。

インパクターの発震は、シリンダーを左右に傾斜させ、それぞれの方向で5回ずつ発震し足し合わせた記録を記録している。この際、シリンダーの傾斜はインパクターの車体に対する左右ではなく、測線に対するシリンダーの傾斜が南東(南〜東)、北西(北〜南)の順になるように発震を行なっている。これを「右打ち」「左打ち」と呼ぶことにする。

現地調査の作業状況については、付録1の現場写真を参照。

図2−14−1図2−14−2図2−14−3図2−14−4図2−14−5図2−14−6 にP波反射法の現場記録例を示した。各図は、1発震点に対して、地表の240受振点で観測した記録であり、横軸は受振点の番号、縦軸は時間となっている。参考のために各図の上部に測線図も同時に添付した。

図2−15−1図2−15−2は、S波測線のインパクターの現場記録例である。(a)・(b)は同一発震点でそれぞれ反対方向に傾斜させて発震したものであり、「右打ち」「左打ち」の記録である。

現場記録はインパクターにより取得されたが、作業の途中で委員会の見学のデモンストレーションとして、大型バイブロサイスおよびミニバイブ(S波モード)を震源とするデータが3成分受振器で取得された。

図2−16−1は大型バイブロサイスによる記録、図2−16−2はミニバイブによる記録である。ミニバイブを震源とする記録は、P波の影響がほとんどなく、明瞭なS波の反射波・屈折波を認めることができる。大型バイブロサイスによる記録では、P波のエネルギーが強いが、ミニバイブのS波の反射波に相当する位置に同様な波が現れており、P波から変換したS波の反射と考えることができる。

反射法データ取得作業の結果、次のものが得られた。

(1)現場磁気テープ(1/2in.2400ft., SEGYフォーマット) 6巻(P波測線)

現場磁気テープ(3490E形式, SEGYフォーマット) 6巻(S波測線)

(2)同上データシート(Observers Report) 1式

(3)現場モニター記録 1式

(4)発震点・受振点座標/標高値 1式

上記(2)のデータシートは、付録2(P波反射法・屈折法測線)、付録3(S波反射法測線)に添付した。