P波反射法地震探査の測線は、千葉県船橋市から鎌ヶ谷市・東葛飾郡沼南町を経て我孫子市に至る総延長約22kmの測線である。このうち、中央の約6kmの部分では発震を行なっていない。当地震探査は、対象地域の先第三系基盤の構造を捉えることを主目的として実施している。
P波反射法測線は、当初計画では、船橋市藤原町から鎌ヶ谷市粟野(下総航空基地手前)に至る測線と、沼南町の国道16号線から我孫子市の利根川の手前までの2測線からなる。実際の作業ではこの間約6kmにも受振器を設置し、反射法および屈折法のデータを取得した。
当測線では、交通のノイズが大きいことから、大型の非爆薬人工震源バイブロサイス1〜3台を震源として用いた(図2−12−1参照)。また、一部大型バイブロサイスが進入できない区間でミニバイブを用いた(図2−12−2参照)。
バイブロサイス調査は、受振点間隔25m、発震点間隔標準100m、240チャネルのCDP重合法に基づくデータ取得を行った。バイブロサイス震源は、スイープと呼ばれる20秒程度の振動を与えてデータを取得するため、比較的車両等のノイズに対して強いという特徴がある。
測線上に設置された受振器で取得された反射波データは GDAPS−3型探鉱機によって記録された(図2−11−1 参照)。
S波反射法地震探査は、深度およそ500mまでの速度構造を解明する目的で実施した。調査測線は、S波震源により道路を損傷するおそれのない未舗装道路に限定されるため、白井町の町道1kmが選ばれた。
S波の震源としてP/S油圧インパクター(インパクター)1台を用いた(図2−12−3 参照)。このインパクターは、油圧シリンダを傾斜させて地面を打撃することにより、P波とS波の両者を同時に発生されることができる。3成分受振器によって取得されたデータはGDAPS−4型探鉱機によって記録された(図2−11−2 参照)。
3成分地震記録は図2−26 左側に示すような加算・減算により、P波成分・S波成分を分離して取り出すことができる。その後の処理手法は、共通反射点重合法の手順による。
本調査の測定仕様は次のとおりである。この仕様は表2−1 にもまとめて示した。
[P波反射法地震探査]
<発震系>
震源: バイブロサイス 1〜3台
ミニバイブ 1台
スイープ周波数: 8〜60 Hz
スイープ数/発震点: 4〜12 回
発震点間隔: 100 m(標準)
総発震点数: 150点以上
<受振系>
受振器: SM−7(10 Hz)
受振器個数/受振点: 9個
受振点間隔: 25 m
総受振点数: 888点
受振器総展開長: 22.2 km
<記録系>
探鉱機: GDAPS−3 一式
サンプル間隔: 4 ミリ秒
記録長: 8秒(コリレーション後)
チャネル数: 240チャネル
展開: 1:2振り分け展開
[S反射法地震探査]
<発震系>
震源: P/S油圧インパクター 1台
発震回数/発震点: 10 回(West 5回、East 5回)
発震点間隔: 10 m
総発震点数: 100点
<受振系>
受振器: PE−6C, SM−4 3D (3成分、10 Hz)
受振器個数/受振点: 6個(PE−6C)、3個(SM−4 3D)
受振点間隔: 5 m
総受振点数: 201点
受振器総展開長: 1.0 km
<記録系>
探鉱機: GDAPS−4 一式
サンプル間隔: 2 ミリ秒
記録長: 8秒
チャネル数: 603(=201×3)チャネル
展開 固定展開