(1)H/Vスペクトルによる検証

地震動のH/Vスペクトルは、地震毎のばらつきが小さく、1つの観測点のみの記録で計算が出来るため簡便な手法である。本調査では、地震記録のcoda部分のH/Vスペクトルが深部地盤構造により生成される堆積層レイリー波の基本モードH/Vスペクトルとほぼ整合すると仮定した。Coda部分に着目するため、解析に用いる時間ウインドウ(本調査では81.92秒)を伸ばすことができる。やや深い構造に起因する地震動での周期1秒以上のピーク周期を抽出できる可能性のある方法である。本調査においては、周期5秒程度までの卓越周期を求めることができた。

本調査では、H/Vスペクトルの長周期側のピーク周期のみをあわせるように地下構造モデルを修正した。ピークの振幅や短周期側のスペクトル形状などは説明できていない。より短周期までのモデリングを行うためには、地震動に含まれる実体波やラブ波などの影響を考慮した解析手法が必要であり、今後の課題である。