(1)三河地域の地形概要

三河地域は、地形発達過程や堆積環境の相異から、図3−1−1に示すように、@境川および矢作川流域の岡崎(西三河)平野、A三河山地・幡(は)豆(ず)山地(さんち)、B豊川流域の豊橋(東三河)平野およびC弓張山地・蔵王山地に分けられる。以下にそれぞれの地形概要を述べる。

1)岡崎(西三河)平野

岡崎平野は、西の境川と東の矢作川に囲まれた地域一帯を指す。この地域には、海成段丘からなる台地が広く分布し、北東から南西にかけて高位面(三挙母(ころも)から中位面(碧海(へきかい)面(めん))が連続している。また、河川沿いには河成段丘からなる低位面(ていぐらいめん)(越戸(こしど)面(めん))や氾濫原性の沖積低地が分布する。

2)三河山地・幡豆山地

三河地域北東部には、標高200〜1,000mの三河山地と呼ばれる広大な高原状地形が分布する。三河山地は木曽・伊那両山脈の延長であり、西ないし南西方向に徐々に高度を下げる傾向を示す。また、三河山地の南西部には、三ヶ根山(さんがねさん)を有する幡豆山地が分布する。幡豆山地は深溝(ふこうず)−横須賀断層(1945年三河地震の地震断層)などの南北方向の断層により、三河山地と分断されている。

3)豊橋(東三河)平野

豊橋平野は、豊川流域に形成された沖積低地および洪積台地からなる。この地域には、豊川沿いの豊川低地を挟み、両岸側に海成ないし河成の中位および低位段丘面が発達する。また、豊川左岸側から渥美半島地域には、高位、中位、低位の段丘面が発達する。

4)弓張山地・蔵王山地

豊橋平野東方には標高200〜500mの弓張山地が位置する。弓張山地は南方に徐々に高度を下げ、東海道本線や新幹線の通る豊橋市梅田川周辺を南西縁としている。また、弓張山地南西方向の渥美半島には蔵王山地と呼ばれる標高200m程度の孤立山地が分布する。なお、弓張山地および蔵王山地は、大局的な地形としては、北部の赤石山脈の延長であるが、弓張山地と蔵王山地の間の約15km区間は高位段丘面で占められ、山地は分離している。