推定された3次元速度モデルの評価を行うために使用する強震観測データは、表面波、特に盆地生成表面波を発生させやすいとされる比較的浅い地震が有効である。今回、上記期間に対象地域で発生した中小規模の地震として、愛知県西部(2001/9/27発生、深度15km、Mj4.3)、および、浜名湖直下(2001/2/23発生、深度40km、Mj4.9)の2つが存在しており、これらを用いて本解析を行う(表3−4−1)。これらの中小規模地震の断層震源モデルについては、震源はダブルカップル力による点震源と近似して数値計算を実施する。震源メカニズムについては、防災科学技術研究所のF−net広帯域地震観測記録を用いたモーメントテンソルインバージョンの結果を引用した(表3−4−2)。
収集された自然地震データは、対象地域の市町村データ42点、防災科学技術研究所K−netデータ14点、KiK−netデータ8点、気象庁観測網データ8点の計72点から、収録波形が良好なものを選択して使用した。これらの地震の震央位置および観測点位置図を図3−4−1および図3−4−2に示す。なお、図1−2−2調査地域地質図にもこれらの観測点を示した。また、別添7にはこれらの観測点のうち科学技術庁防災科学技術研究所によるK−net観測点の土質柱状図を示した。以上の地震に対して収集した強震動記録の一覧を表3−4−5に示す。なお、豊橋技術科学大学によって収録された豊橋市本郷中学校(設置位置:N34°42.7′E137°24.0′、標高:6.2m、表層構成:粘性土、設置深さ:GL−1m)における地震観測データ(豊橋技術科学大学 河邑教授の私信、2004)の提供を受けた。このデータについては、観測時刻が欠落しているものの3成分加速度波形が得られているため、各種ピーク値を地点情報として引用した。