これらから、反射法断面図の性状は以下のようにまとめられる。
A)基盤の形状など
・ 先新第三系基盤にいたるまでのP波断面図とP波速度構造図が得られた。
・ 基盤上面の深度は、全体に東上がりであり、深度50mから1500m程度まで変化している。基盤上面はCDP500(西尾市長縄町)付近、CDP1100付近(半田市十一号地)でその傾きを変えている。
・ CDP1100以西(半田市十一号地から半田市板山町付近)では基盤上面の形状は大きく変化している。
B)堆積層の構造など
・ 基盤以浅の反射面も全体的には東上がりであるが、CDP1500およびCDP1550(半田市吉田町)付近でその形状が変化している。これは、加木屋−成岩断層および平井撓曲に相当すると考えられる。
・ 基盤以浅の堆積層のP波速度は深度と共に漸増し、1.6km/sec〜3.1km/secを示している。
・ 反射法速度解析で用いた層区分に従えば、堆積層の特徴は以下の様にまとめることが出来る。 表3−2
図3−1−3−2には、平成14年度反射法と平成15年度反射法による重合断面図の比較を示した。この図には、速度境界として読み取った反射面を示した。B層およびC層上面の反射面は平成14年度測線の南東側および平成15年度測線の西側でよく似ている。D層上面の反射面は両測線とも非常に明瞭であるが、E層(基盤)上面の反射面は、平成14年度測線の方が、明瞭であり連続性も良い。
・ 本測線近傍の既存坑井および微動アレイ解析結果によって以下の情報が得られている。
図3−1−4にはこれらの坑井で得られた柱状図を示した。柱状図は沖積層〜洪積層、東海層群、中新統および基盤をそれぞれ、青、黄、緑および赤で示した。
地質図によると知多半島には東海層群が広く分布しており、本測線近傍でも東海層群上部が露出している。このことから、B層は東海層群上部(常滑層群)に相当すると考えられる。半田コロナ温泉で確認されている中新統上面深度は、D層上面深度と一致しており、D層は中新統に相当する可能性が高い。これらの結果から各層は以下のように推定される:
A層:沖積〜洪積層
B層:東海層群(上部〜中部)相当層
C層:東海層群(下部)相当層
D層:中新統相当層
c)P波反射法測線中には、以下の断層系が認められている(愛知県、1996): 表3−4
反射法から推定される断層系の位置は、これまでの結果と概ね一致している。
上記以外には断層のような顕著な不連続構造を明瞭に示す事象は認められない。