(1)フォワードモデリング

反射法/屈折法から得られたP波、S波速度構造を基に、以下の観点からフォワードモデリングを行った(図3−2−9−3)。以下にモデリングに用いたモデルを示す(図3−2−9−4)。

表3−2−4−1

モデルT:反射法で得られた速度構造

・ このモデルによる分散曲線は、周波数1Hz以下では、観測分散曲線と概ね一致していることから、A〜C層の速度構造については矛盾が無いことが分かる。そこで、D層の層厚、速度などを以下のように変化させた、

モデルU:D層の層厚を薄く(660m⇒330m)した。

モデルV:D層の速度を速くした。

以上の結果から、

・ D層の速度を速くする、またはD層を薄くすると、周波数1Hz以下での理論位相速度は速くなり、観測値に近づいていく傾向を読み取ることが出来る。

次に、基盤深度を800m付近として基盤の速度を変化させた、

モデルW:基盤のVs=3500m/sec

モデルX:基盤のVs=4000m/sec

以上の結果から、

・ 基盤の速度3500m/secの場合は3000m/secにくらべ観測位相速度に近づく傾向にあるが、

・ 基盤の速度を4000m/secにすると周波数0.7Hz以下では観測位相速度を越えてしまうことがわかる。

・ したがって、基盤深度を800m付近とすると、基盤速度を速くしても観測位相速度を説明できないことが判った。

また、その他の予想される構造として、D層が無く速度が急変しているモデル(モデルY)についても計算したが、いずれも観測位相速度には一致していない。上記のいずれのモデルも昨年度の結果(図3−3−9−4、愛知県(2002b)による)のように観測位相速度を説明することはできない。