(3)低周波数部分の欠測に関する検討

O−3地点では、昨年度の解析結果から、VSPの結果と整合の取れた解析結果が得られており、分散曲線も0.3Hz付近まで求められている。微動アレイ解析時にしばしば問題となる分散曲線における低周波部分の欠測がインバージョン結果に与える誤差について検討するために以下のデータを用いて5層構造を仮定してインバージョンを行った:

@ 全ての分散曲線を用いた場合(図3−1−11−1

A 分散曲線の0.4Hz以下のデータを省いた場合(図3−1−11−2

これらの結果から以下のことが判る:

・ @の結果は、層数を減らした効果により、8層モデルである昨年度の結果に比べVSP結果により近いものになっている。

・ Aの結果は@に比べ、第4層の速度が若干ばらついている。

ただし、O−3における0.4Hz以下の点は5点と比較的少ない。そのためこの部分での拘束があまり無かった可能性もあるため、

B分散曲線の0.5Hz以下のデータを省いたインバージョンを行った(図3−1−11−3)。

・ この結果は、Aの結果に比べ、基盤速度が遅く推定されている。

以上から、O3地点は基盤深度が浅いため、0.5Hz以下の低周波数域の寄与がそれほど大きくはないが、低周波数域のデータが欠如した場合、基盤深度は深く、その速度は遅く推定される傾向があることが分かる。