・ 深度約900mの基盤までのS波反射面が明瞭に捉えられた(図3−1−7)。
・ S波深度記録とP波深度記録との反射波の対応は比較的良い(図3−1−7)。
・ 堆積層中のS波速度は0.35〜1.0km/secを示す。ただし、S波速度解析結果では、B層とC層は優位な速度差が認められないため、これらを1層とした(図3−1−5)。
・ B/C層のS波速度については、S波反射法のみから推定したが、D層のS波速度については、S波反射法の速度解析のみでは若干の不確定さを持つため、P波反射法の結果得られた基盤上面深度を既知として速度を絞り込むことにより、精度良く推定することが出来た。
・ S波反射法速度解析の結果を、同測線近傍でのP波速度解析結果とともに示す。ここには、前述の層区分と層序も示した(図3−1−6)。
図3−1−8−1にはP波およびS波反射法から得られた速度と前年度にCDP840付近で取得された微動アレイ探査O−6地点の結果(愛知県(2002b))、CDP250南4km付近で取得された微動アレイ探査O−3地点の結果およびO−3地点近傍で取得された防災科学技術研究所によるHi−Netの観測井(安城)で得られたPS検層の結果を併せて示した。これらから、以下のことが判る。
・ 測線位置が異なるため厳密な比較には無理があるが、安城観測井でのPS検層においては、反射法におけるB層およびC層に対応するP波およびS波速度層が認められる。D層に対応した速度層は安城観測井では認められない。
・ 微動アレイのO−3地点(安城観測井と同位置)の結果と観測井でのPS検層の結果は、基盤深度、基盤S波速度および堆積層中のS波速度ともに良い一致を示している。
・ 微動アレイのO−6地点の結果(CDP840付近)と反射法結果(CDP950付近)とを比較すると、反射法におけるB層およびC層については大略一致しているものの、微動アレイでは基盤深度が反射法結果に比べ約200m程度浅く(680m)推定されている。
・ 反射法による速度構造を用いて計算された分散曲線と微動アレイ観測による観測分散曲線との比較を図3−1−8−2に示す。両者は、大略的には似ているものの、周波数0.75Hz以下で反射法による位相速度が若干低い傾向を示している。これは、S波の異方性により微動アレイ結果が反射法に比べて速く推定されるためと考えられる。