(2)データ取得作業

調査は、許認可申請・地元交渉等の事前準備を経て、平成14年12月6日より受振点杭を設置し、測量作業を開始した。データ取得作業は平成14年12月15日より開始し、P波反射法・P波屈折法の後に、S波反射法を行い、12月21日に終了した。 データ取得作業期間は7日間であった。現地作業工程表を表2−2−2に示した。総受振点数および総発震点数は以下の通りであった。

        総受振点数   総発震点数

P波反射法   796        320

データ取得作業は、平成14年12月4日に作業場事務所を設営し、関係先挨拶、資機材搬入等の諸準備から作業を開始した。

市街地での調査のため、関係先への説明、地域住民への周知徹底のためのチラシ配布等の調査前準備が調査測線近傍全区間にわたってなされ、また、実発震作業時にもできうる限り各戸訪問説明等を行った。その結果、多くの方々は調査の趣旨を理解され、比較的協力的であった。

P波反射法の測線では都市部であるため道路は舗装されており、受振器は極力植込みや道路横の露出地面に設置したが、利用できない場合はアスファルト上にアルミ製受振器スタンドを使用して設置した。受振点位置が交差点や三叉路の中にあたる場合は、正規間隔で設置せず受振点位置を近くの歩道側にずらした。また、交差点・三叉路付近、停留所・商店出入り口等で歩行の邪魔となるところでは、受振器を固めて隣接して設置する「バンチング」を併用した。

調査測線と交差する道路が多数あり、特に交通量の多い幹線道路での本線ケーブルの道路横断には、信号柱を用い高架渡しを行った。高架渡しを行ったのは22ヶ所である。この他の交差点では、道路地下の水路等を通すか、ケーブルをゴム製のカバーで覆って道路面を横断した。

発震作業に当たっては、発震点毎の騒音・振動の様子を確認しながら、適宜

・スイープ数

・出力レベル

・バイブレータ車の台数

の調整等を行った。

原則として2台稼働、5回スタック/点を基準としたが、各発震点の状況に応じ臨機応変に対処した。バイブレータ発震出力についても状況に応じ、最大出力の30〜90%に変えて行った。また、現地状況の許す限りスタック回数およびバイブレータ発震出力を上げ記録の質の向上に努めた。

現地調査の作業状況については、付録1の現場写真集を参照されたい。

図2−1−4−1図2−1−4−2図2−1−4−3図2−1−4−4にP波反射法の現場記録例を示した。各図は、1発震点に対して、地表の240〜300受振点で観測した記録であり、横軸は受振点の番号、縦軸は時間となっている。参考のために各図の上部に測線図も同時に添付した。民家や店舗等が密集して発震出力レベルを弱くせざるを得ない発震点が続く、発震点間隔が荒くなるといった場合には、発震出力レベルを上げ、スイープ回数を多く取れるような発震点を受振測線近傍で探しオフセット発震を行なった。そのような場合発震受振点と発震点位置が異なることになり、受振点の近傍で発震した場合と区別するために発震点番号に1000を足して発震点番号とした (例えば図2−1−4−2)。これらの記録から以下のことが言える。

測線の南端は交通量が多く、記録の質はあまりよくない。特に、安城市内での発震記録は、初動の到達距離も短く(約2km)、予想される基盤深度は浅い(600〜700m程度)ものの、基盤からと思われる反射は明瞭ではない(図2−1−4−1)。知立市内の発震でも民家・店舗等多く、出力レベルを弱くして発震せざるを得なかったが、オフセット発震可能な発震点がある場合にはオフセット発震を行なった(図2−1−4−2)。基盤からと考えられる反射は0.7〜0.8秒付近に明瞭に得られている。測線北側の名古屋市緑区〜大府市共和町で行った発震記録は国道23号側道での受振となったためノイズレベルが非常に高く、記録の品質が全体的に良くないが、0.8〜0.9秒付近に基盤からと考えられる反射を確認することができる記録もある(図2−1−4−3図2−1−4−4)。

反射法データ取得作業の結果、次の成果物が得られた。

@現場磁気テープ(1/2in.2400ft., SEGYフォーマット) 5巻 

A同上データシート(Observers Report) 1式

B現場モニター記録   1式

C発震点・受振点座標/標高値 1式