7−3−4 走時データによる検証

強震観測記録中のP波、S波の走時を直接利用する方法と基盤でのP波からS波への変換波の走時を利用する方法(レシーバ関数法)の2種類を実施した。

レシーバ関数は、基盤での変換波を利用するので、基盤の深度分布とその上位の堆積層の平均的な速度分布の検証に用いた。計算は簡単であるが、観測波形に変換波が含まれるかどうかの判断が鍵であり、適切な地震の数が少ないと推定精度が悪くなるため検討の余地がある。

P波、S波の走時を利用する方法は、地震観測点が平野にある程度の密度である場合には、平面的なモデルの評価ができるので有効である。ただし、震源からの経路や読みとり精度などの誤差が大きく、全体的な傾向を確認する程度の活用である。