7−2 表層の取り扱いについて

今回の主目的は深い地盤構造のモデル化であった。しかし、観測記録は地表でされているものがほとんどであり、また地震動の影響は表層地盤がかなりの重みを占めるものである。3次元有限差分法は、有力な検証の武器であるが、まだ制約がある。

波形シミュレーションによる検証計算では200mグリッドという計算上の条件から、表層に関しては粗いモデル化になっている。周期範囲もおよそ2秒以上が対象となり、濃尾平野のような軟弱な地盤でしかも地上には重要な構造物も存在するので、今後この側面での展開が期待される。計算機の能力が飛躍的に伸びているので、細かい断面を取り扱うことが可能になってきており、深い地盤構造と浅い地盤構造をハイブリッドで計算する試みもなされているので、数十m格子での表層地盤を含めたモデルに対する差分法計算によってより正確なより短周期までの地震動が把握されることになる。