(1)基盤岩類と地震基盤

地震基盤を示す層の物性値としては、一般に用いられているように、Vp=5.5km/s、Vs=3.0km/s程度以上の層が、濃尾平野の地下に存在していることが平成11〜13年度の反射法地震探査により確認されている。一方、地質の観点からの基盤岩類には、おおよそ地震基盤層に相当している速度を持つものがある。すなわち、平成11−13年度地下構造調査結果では反射法探査による基盤岩類の上面深度と屈折法探査による地震基盤層の上面深度が対応づけられている。さらに、微動アレイ探査による地震基盤層上面の深度と地質(大深度ボーリング)あるいは反射法探査による基盤岩類上面の深度と比較すると、図4−3−1に示すように、一部で微動アレイ探査による深度がかなり深くなっているものの、これを除くと、おおよそ両者は対応している。

一方、山地部においては、風化などの影響により図4−3−2−1図4−3−2−2に示すように100m以上掘進してもVp=5.5km/sあるいはVs=3.0km/sに達していない場合がある。しかしながら風化がどこまで達しているかは岩質や標高、傾斜、断層による破砕などその要因は複雑であり、また図4−3−2−1図4−3−2−2のとおり山地部では数100m以上掘進したボーリングは少なく、KIK−netのPS検層データでもVp=5.5km/sあるいはVs=3.0km/sに達しているデータは少ないため、風化の影響を考慮した山地部のモデル化を行うことは困難である。

これらのことから、本調査においては、平野部、山地ともに基盤岩類上面の深度を持って地震基盤層の上面として考え、Vp=5.5km/s、Vs=3.0km/sを付与するものとした。

図4−3−1 微動アレイによる地震基盤深度と地質による基盤岩類上面深度の比較

図4−3−2−1 KIK−netボーリングにおける最下層のP波速度と上面深度および掘進深度

図4−3−2−2 KIK−netボーリングにおける最下層のS波速度と上面深度および掘進深度