(1)既往の調査結果

濃尾平野内で基盤岩類までに達する深層PS検層は3孔であり、平野東部及び中央部の基盤深度が600−700m前後の浅い場所での調査結果である(前出の図3−2−1)。また、微動アレイ探査は31点で実施されている。一方、既往重力異常分布の解析結果から、基盤の概略の形状と深度は推定されているものの(前出図3−4−11図3−4−12)、その上位の堆積層までを含めた詳細な構造を示す資料は、平成11年〜13年度に実施された反射法地震探査結果が有力な資料である。そこで、まず平野中央部での地質分布をより確実なものとするために、上記3測線の反射法地震探査結果の見直しを行った。

平成11年〜13年度に実施された反射法地震探査の測線位置を図4−2−1に、その解釈結果を図4−2−2−1図4−2−2−2図4−2−2−3に示す(愛知県、2002)。この段階では、反射法地震探査で得られた特徴的な反射面に着目し、下記6層に地質解釈されていた(平成11年度はD層、E層を一緒にしてD層とし、5層構成となっていた)。

(A):沖積−熱田層相当層

(B):海部累層相当層

(C):弥富累層−東海層群相当層

(D):東海層群相当層

(E):東海層群下部−中新統相当層

(F):基盤岩類

反射波は、砂礫層等のように周辺に比べ、物性値のコントラストが大きい層があると明瞭に現れる。第四系には、特徴的な礫層(第1礫層〜第3礫層)があるため、これらが明瞭な反射を発生していると推定される。熱田層と海部累層と弥富累層は、これらの礫層をもとに層区分されている。一方、第四紀の弥富累層と第三紀鮮新統の東海層群の間にはそのような明瞭な鍵となる層が無いために、反射法断面だけから区分することは難しく、既往の解釈では、反射波の特徴とボーリングデータを参考に区分されている。東海層群と中新統の境界も同様にして明瞭な反射面が無いために、速度値を参考に層区分が行われている。基盤岩類上面については、測線全体にわたり追跡できる明瞭な反射面として解釈されている。これは、同時に実施された屈折法探査の結果からも裏付けられている。

図4−2−1 平成11−13年度反射法・屈折法探査測線配置図

図4−2−2−1 平成11年度反射法探査結果(深度断面)

図4−2−2−2 平成12年度反射法探査結果(深度断面)

図4−2−2−3 平成13年度反射法探査結果(深度断面)