3−7−2 久家ら(2001)による地震動計算

久家ら(2001)は、既往の地下構造調査結果をもとにして、濃尾平野の3次元地盤モデルを作成し、差分法により1998年4月22日に岐阜県美濃中西部で発生したM=5.4の地震による地震波形を計算している。用いた地盤モデルは、愛知県地下構造調査による反射法データをもとにした、単一速度値モデル(Vp=1.8, 2.0, 3.0, 5.4, 5.km/sの5層構造)である。図3−6−2にモデルと計算結果を示す。Q値については、地震基盤よりも上部ではQ=20/Vsという経験的な関係を用いている。

地震動計算結果は、平野内及び周辺の5カ所での観測結果との比較により、初動部分の位相と振幅及び後続位相については比較的対応しているが、振幅は場所によって小さめになっており、特に堆積層の厚い地点での後続波が観測よりも小さい。このことについて、速度構造及びQ値に関する検討がさらに必要としている。

図3−6−2  久家他(2001)による観測波と計算波の比較