3−5 既存資料による速度値の整理

以上に述べてきた既往の物理探査(PS検層、屈折法地震探査、反射法地震探査、音波探査、微動アレイ探査)によって求められている速度値の資料より、濃尾平野に現れる地震基盤層から表層までのおおよその速度層の構成と特徴をまとめた。

まず、東西方向(緯度ごと)、南北方向(経度ごと)に、速度値の分布を図3−4−12−1に示した。これによれば、Vp=5−6km/s程度、Vp=4km/s程度、Vp=3km/s程度、Vp=2−2.5km/s程度の層および表層のVp=1.5−2km/s程度の速度値が代表的である。ただし、濃尾平野では、Vp=4km/s程度の速度値は少ない。この速度層は、濃尾平野周辺の中古生界、花崗岩類、領家変成岩類、濃飛流紋岩類、三波川変成岩類が分布する地域にみられることが特徴的である。

また、各速度値を深度方向の断面でみた図3−4−13によると、各速度層の概略の深度分布を知ることができる。

以上を総合すると、おおよそ以下の表3−4−3に示す5つの速度層に区分することができる。これは、解析を進めるうえでの目安となる。

表3−4−3 速度層区分

図3−4−12−1 探査結果による速度値の緯度、経度方向分布(濃尾平野地域)

図3−4−13 探査結果による速度値の深度方向分布(濃尾平野・伊勢湾地域)