表3−2−2 濃尾平野の大深度ボーリングの内訳
濃尾平野では、上述のように、深部より基盤岩類(中古生層、花崗岩)、中新統、東海層群、第四紀層が代表的な地層であるので、表3−2−1中には、各ボーリングでそれらの地層が確認された深度を記載している。濃尾平野周辺で基盤岩までを確認しているボーリングの数は18本(平野内は14本)にすぎない。その深度の分布を図3−2−1に合わせて示している。平野の北側では300−400m程度と浅く、東側では500−700m程度、平野の中央部では700−1000m程度である。また、平野の西部の養老山地に近い部分では確認されていない。なお、基盤岩類とはいっても必ずしもいわゆる地震基盤層(Vp=5.5km/s、Vs=3.0km/s)そのものを意味するものではない。
次に、第三紀中新統に着目すると、確認されている深度の分布を図3−2−2に示したが、平野の東部で700m程度、中央部で1000m前後となり、養老山地に近い部分や平野の南部では1300−1500mに及ぶ深度で確認されている。最も深くなっているのは、濃尾平野の南西の伊勢平野に入った桑名付近での1656mである。したがって、中新統の下部にある基盤岩類が濃尾平野の西部では1500m以深に分布していることが推定される。一方、その厚さは、東部では比較的に薄く、養老山地に近づくにしたがって厚くなり、数百mになっている。
また、第三紀層上部の鮮新統は東海層群に代表されるが、図3−2−3の深度分布に示したように、平野東部の丘陵では50m程度と浅く、西に行くにしたがって次第に深くなり、中央部では200−300m前後となって、さらに西部では300−350m程度の深度が確認されている。また、海津町付近では、500−700mを超す深度がとらえられている。その厚さは最も厚い部分で1000m程度である。
なお、ボーリング資料は相互に整合するものばかりでなく、隣り合っていても同じ地質の上面深度が大きく異なる場合もあるなど、調整、解釈が必要となるほか、資料の希薄な場合には、推定が入り込んでいる地域も少なくない。
これらのボーリング資料から、それぞれの地点での地質境界を確実に把握することができるので、地質境界の分布を作成する際に活用した。
表3−2−1 大深度ボーリングの概要
図3−2−1 大深度ボーリング位置図(基盤岩類到達深度)
図3−2−2 大深度ボーリング位置図(中新統到達深度)
図3−2−3 大深度ボーリング位置図(東海層群到達深度)