(8)速度解析(Velocity Analysis)

定速度重合法(Constant Velocity Stack (CVSK))を用い、約100CDP(1250m)毎の地点24箇所で速度解析を行った。なお、速度解析は、残差静補正前後で2回行った。

2回目の速度解析の結果例を図2−2−9−1図2−2−9−2図2−2−9−3図2−2−9−4図2−2−9−5に、重合速度構造図を図2−2−10に示す。図2−2−9に示す速度解析においては、基盤と考えられる反射面(図中の赤印)以深には有意な反射面は見られず、基盤以深の区間速度を推定することはできない。また、基盤上部の区間速度は約5km程度が想定されるが、このような速度を仮定して重合速度を求めると、基盤付近で重合速度が急激に速くなるため、この重合速度をそのまま用いた重合では基盤付近で効果的な重合ができなくなる恐れがある。これらを考慮して、基盤以深の区間速度は実際の区間速度よりも遅い速度を仮定し、重合速度を推定した。付録3には、基盤上面までの速度解析結果を表にまとめたものを示した。

図2−2−11−1図2−2−11−2図2−2−11−3は、各CDPにおいて速度解析で求められた速度から、往復走時とRMS速度、往復走時と深度および深度と速度の関係を重ね合わせて表示したものである。図2−2−11−1および図2−2−11−2については、基盤面までの情報のみを示した。また、図2−2−11−3においては、基盤の速度は屈折法から得られた速度、5500m/secを仮定した。

屈折初動を用いた解析では、地層をモデル化して与える必要がある。また、総合解析を行う場合にも、地下構造は何らかの層分けをする必要がある。そのため、速度解析時に、以下の点に留意して層分けを行った。

速度解析を実施する反射イベントは、重合記録において、比較的連続性が良く、全測線で追跡可能な反射面に対応すること。

速度解析パネルで強振幅を示すイベント(このイベントの上下の音響インピーダンスに大きな差があり、地層境界の可能性が高い)が測線方向に連続して読みとれること。

最終的には、養老断層から東側の堆積層を4層モデルとした。反射法による速度構造図を図2−2−12に示した。図中の+印が、速度を読みとった点に対応しており、数字は、上下二つの+印間で速度が一定と仮定して推定した区間速度を示している。各層は浅い方からA層、B層、C層、D層とした。D層下のE層は先新第三系の基盤に相当すると考えられ、図中に表示した区間速度は屈折法の結果による速度であり、反射法から得られた区間速度と区別するために括弧付きで表示した。