調査測線と交差する道路が多数あり、特に交通量の多い幹線道路での本線ケーブルの道路横断には、信号柱を用い高架渡しを行った。高架渡しを行ったのは、愛知県内6ヶ所および岐阜県内の2ヶ所である。この他の交差点では、道路地下の水路等を通すか、ケーブルをゴム製のカバーで覆って道路面を横断した。
発震作業に当たっては、発震点毎の騒音・振動の様子を確認しながら、適宜
・スイープ数
・出力レベル
・バイブレータ車の台数
の調整等を行った。
原則として3台稼働、10回スタック/点を基準としたが、各発震点の状況に応じ臨機応変に対処した。バイブレータ発震出力についても状況に応じ、最大出力の40〜80%に変えて行った。また、現地状況の許す限りスタック回数およびバイブレータ発震出力を上げ記録質向上に努めた。
現地調査の作業状況については、付録1の現場写真集を参照されたい。
図2−2−6−1、図2−2−6−2、図2−2−6−3、図2−2−6−4、図2−2−6−5、図2−2−6−6にP波反射法の現場記録例を示した。各図は、1発震点に対して、地表の240または290受振点で観測した記録であり、横軸は受振点の番号、縦軸は時間となっている。参考のために各図の上部に測線図も同時に添付した。これらの記録から以下のことが言える。
測線東側(Loc. No.161〜350付近)は、国道302号線上およびその側道上での発震および受振となった。この部分は、車輌などによるノイズが大きく記録の品質は良くない。また、国道302号線には埋設管が敷設されており、この国道上で発震した記録には、埋設間を伝わるチューブウェーブが卓越している。しかしながら、この部分は、基盤深度が比較的浅いため、基盤からの反射波も得られている(図2−2−6−1および図2−2−6−2)。
測線中央部(Loc.No.350〜700付近)は人家なども少なく、良質の記録が得られている。基盤からの反射波も明瞭に得られている(図2−2−6−3、および図2−2−6−4)。
測線西側(Loc. No.700〜1150付近)は人家が近く、バイブレーター台数および発震エネルギーを制限した。そのため、記録の質は良くない。
測線西端(Loc. No.1200以降)を過ぎると、展開の西側に見掛け速度5000m/secを超える屈折初動が得られている。これは、養老断層の上盤側で発震・受振していることによると考えられる(図2−2−6−6)。
反射法データ取得作業の結果、次の成果物が得られた。
(1)現場磁気テープ(1/2in.2400ft., SEGYフォーマット) 7巻
(2)同上データシート(Observers Report) 1式
(3)現場モニター記録 1式
(4)発震点・受振点座標/標高値 1式