今回は、地下深部の構造に起因する長波長の重力異常(傾向面あるいは重力トレンドという)を抽出・分離するために上方接続フィルタを用い(駒澤, 1984; 駒澤・長谷川, 1988)、接続距離を3kmとした。図5−1に示したブーゲー異常に対する上方接続図を図5−2に、ブーゲー異常Δg から上方接続値 gup(3km)を除去した残差重力値
を図5−3に示す。
図5−4には、仮定密度2.3g/cm3と2.0g/cm3についてのブーゲー異常値および残差重力値の差を示す。地表標高200m以下では、仮定密度の違いによるブーゲー異常値の差は−4〜0mGal程度、残差重力値の差は−2〜+2mGal程度である。したがって、今回対象としている平野部においては、仮定密度による影響はそれ程大きくないものと考えられる。中部地方の陸域においては、従来から仮定密度を2.3g/cm3としたブーゲー異常データを扱った例が多いことから、以後の解析は仮定密度2.3g/cm3のデータについて行うことにする。