層数は、表3−6−3で想定した地下構造モデルを基本とし、浅部の低速度層は2層に分割した。また、O−7地点(東浦町)の上部更新世層あるいは豊橋平野の東海層群相当層のように、調査地点において相当する層が存在しないと考えられる場合は、逆解析に含めないようにした。各調査地点の地形分類を表4−4−1に示す。
表4−4−1 調査地点の地形分類
探索範囲とは、GAで速度構造モデルを作成する際の限界値である。各層ごとに層厚とS波速度値の最小値と最大値を設定しておき、逆解析ではこの探索範囲内でランダムにモデルが作成されながら、遺伝的操作により最適解が求められる。
S波速度の探索範囲は、表3−6−3に示す値に準じた。なお、T−2〜T−4地点は中央構造線の外帯に位置しており、基盤岩として三波川帯・秩父帯が相当する。これらは内帯の領家帯より弾性波速度が速いことが想定され、また得られた観測分散曲線でも長周期部の位相速度が速いため、T−2〜T−4地点においては基盤岩のS波速度の探索範囲を高めに設定した。層厚の探索範囲は、既存資料、文献をもとに、広めに設定した。ただしO−8およびT−4地点では、Sアレーのみの観測で十分な周期範囲の観測分散曲線が得られていないため、他の調査地点の結果をもとに、探索範囲をせばめて逆解析を行った。各調査地点の探索範囲を付表4−1に示す。
逆解析の諸元を表4−4−2 に示す。同一パラメータで10回逆解析計算を行い、位相速度の観測値と理論値との差が最も小さい結果を採用した。
表4−4−2 逆解析諸元