3−6−1 反射法地震探査

平成11〜12年度に愛知県によって行われた濃尾平野の地下構造調査において反射法地震探査が実施されている。その結果として、「平成11年度P波反射法測線におけるP波およびS波速度構造図」(愛知県, 2001:図3−2−20(b))が求められている。この速度構造断面は、清洲観測井を通るほぼ東西の測線下の断面である。地震基盤より上位の堆積層は、東から西に行くほど厚くなり、それに伴い弾性波速度が漸増する傾向にある。当測線の東側は、三河地域に近接していることから、本調査地域の地下構造モデルを構築する上で参考になる。

当構造図のうち、東側の部分を濃尾平野東部における地下構造モデルとして表3−6−1に示す。同表には、清洲観測井で実施された密度検層の結果図(愛知県, 2001:図3−2−14(c))から読み取った概略の密度値も併せて示した。

速度層は6層に分けられており、第6層が基盤に対応する。速度分布の特徴としては、P波速度で4km/s代、S波速度で2km/s代の速度層がなく、第5層と第6層との間の速度コントラストが非常に大きいことが挙げられる。第6層と第5層の間のS波速度比は2.0〜2.5に達する。同様の傾向は、アルペン山王の湯で実施された速度検層の結果(山口ほか, 1999)にも認められる。

表3−6−1 濃尾平野東部における地下構造モデル