7−8−1 VSP法の原理

VSP(Vertical Seismic Profiling)は付図8−1に示すように、地表で発震した弾性波を坑井内に降ろした受振器で受振する手法であり、1980年代後半から石油ガス探鉱現場で広く使われるようになった。VSPは地表発振―地表受振である反射法地震探査に比べ、次の利点を持つ、

・振器が坑井内にあるため地表付近のノイズの影響が少ない。

・動が地表付近を1度しか通らないため、高周波成分の減衰が少なく、比較的分解能が高い。

・度−時間の関係が直接得られる。

一方、

・壁と受振器のカップリングの影響を受けやすい。

・方進行波および上方進行波が混在している。

・ューブウェーブなどのVSP特有のノイズが発生しやすい。

などの問題点も挙げられる。また、VSPは震源の位置によってゼロオフセットVSPとオフセットVSPに大別される。震源近傍で発震するゼロオフセットVSPでは、震源から地中を伝わって来た弾性波の初動走時を用いて深度―時間の関係が直接得られ、これから、地下の速度情報を推定する事が出来る。また、初動以下の波動場を処理することによって、下方進行波(震源から下に向かう波で主に直接波とその多重反射からなる)と上方進行波(受振器に下から入力する波で主に反射波を含む)を分離、反射波の抽出を行うことによって、坑井位置での反射波が得られる。一方、震源を坑井から数百メートルから1〜2km離して発震するオフセットVSPでは、震源と坑井間の反射波が得られる可能性がある。本調査では、坑井位置における時間―深度の関係の抽出を主目的としているため、ゼロオフセットVSPのみ行った。しかしながら、観測中にはチューブウェーブとシグナルとの重複を避けるために震源の位置を調節した。以下に本VSP作業における震源位置と坑井との距離を以下に示す。

震源         震源位置T  震源位置U

ミニバイブ(S波)   7.8m       58m

バイブレータ(P波)  8.2m       58m

これらの関係を下図にしめした。