a)基盤到達井、反射法地震探査(図3−2−24−1)
b)基盤到達井、反射法地震探査、微動アレイ探査(図3−2−24−2)
c)残差重力値(図3−2−24−3)
a)およびb)では既存点で得られたデータを曲率最小アルゴリズムをもとにした補間方法(Smith・Wessel, 1990)を用いて緯度・経度に沿って0.01度×0.01度にメッシュ展開した後、200m毎の等高線を引いた。 b)で用いた微動アレイデータは、本調査によって取得解析された結果に、名古屋大学澤田教授からの私信によるデータを併せて用いた。 a),b)ともに先新第三系の基盤岩が地表に露出している部分は0mとした。a)b)共に、西落ちおよび南落ちの基盤構造が推定されており、全体の傾向は、重力データと整合している。また、両結果ともに、養老断層系(A)、桑名断層系(B)、伊勢湾断層(C)に対応する急激な基盤深度変化が推定されているが、これは、主に反射法地震探査データの寄与による。微動アレイデータを用いるか否かによる基盤深度構造に大きな違いは見られないが、微動アレイデータを用いたものは、名古屋市南西部の重力コンターの込んでいる部分(D)で、深度コンターの間隔がやや狭くなり、この部分の構造変化を示唆するものとなった。もし、名古屋港付近に適切なコントロールポイントがあれば、この部分の構造は大きく変わる可能性がある。同様に、桑名から四日市にかけての陸域にコントロールポイントが無いため、これらの部分での推定基盤深度は重力コンターの傾向と整合していない。c)は、1kmメッシュで得られた残差重力値を3.5.2式を用いて基盤深度に変換し、0.01度×0.01度にメッシュ展開した後、200m毎の等高線を引いた結果である。参考のため基盤到達井、反射法地震探査、微動アレイ探査の既存点の位置も示してある。重力を用いた基盤深度の推定法では、断層などの構造変化の激しい部分はうまく推定できないが、この結果からは、養老断層(A)、桑名断層(B)、伊勢湾断層(C)に対応する急激な基盤深度変化が得られており、名古屋市南西部(D)でも急激な基盤変化が認められる。また、伊勢湾東岸(E)の残差重力のアノーマリに対応して、この部分で基盤の落ち込みが得られている。ただし、c)の結果は、±250m程度の推定誤差が含まれているため、現段階ではあくまで参考資料として取り扱うべきである。