単極子である発信器からのエネルギーは泥水内を伝播しケーシングパイプに到達し、ケーシング内を通過したあと再び泥水内を伝わり受信器で信号として観測される。音波がケーシング内を通過する際、ケーシングは細かく振動する。この時、ケーシングとセメントの密着度が高ければ、音波のエネルギーはセメントの方にも良く伝わるので、減衰が大きく受信器に到達する音波のエネルギーは、その分小さくなる。逆に密着度が低いと音波のエネルギー減衰が小さいので、より大きな信号が受信器で観測される。信号の大きさは受信器で捉えられた音波のうち、初動の振幅の大きさとして表される。
測定系は、孔内に挿入するゾンデ、ゾンデを昇降させるためのウィンチおよびケーブル、受振波形の記録・表示を行う地上装置から構成される。
図4−3−8に測定模式図を、表4−3−7に使用機器仕様一覧を示す。
ゾンデには上部と下部に発振子が、中央に2つの受振子が配置されており、発振子と近い方の受振子までの距離は71cm、遠い方の受振子との距離は111cmである。発振子では23KHzの音波が発振される。孔内水を介して地盤に伝わり地盤中を伝播した音波は孔内水を介して受振子に伝わる。2つの受振子で観測された波形の到達時間(走時)の差から2つの受振子間(40cm間)の音波速度を知ることができる。上部の発振子で発振され下方に伝播した波の走時差と、下部の発振子で発振され上方に伝播した波の走時差を平均することにより孔壁の凹凸による誤差を防ぐことができる。観測された波形はデジタルで記録される。
測定は、ゾンデを2m/分程度のゆっくりしたスピードで降下あるいは引き上げながら連続的に行う。
図4−3−7 音波検層使用機器一覧
図4−3−8 音波検層測定模式図