{5} 議論15

(議論15) 1771年の八重山津波について

1771年の八重山津波は、津波被害の甚大さに比べて震害が知られていない。また、津波の波高分布は相当指向性が高く、島によっては被害が異なる。この地震はこれまでスローアースクエイクであり、個々の島周辺の珊瑚礁などの海底地形により指向性が生じたと考えられてきた。最近のしんかい6500による海底地形探査結果からは、この地震の推定波源域周辺の地形は大規模な海底地滑りを発生しやすく、タービダイトの発達も見られることから、1771年の八重山の大津波は、地震に誘発された数箇所での大規模海底地滑りにより発生した可能性も考えられるようになった(Matsumoto, T. et al., 1997)。

(参考文献)

Matsumoto, T., M. Kimura, T. Ono, and C. Uechi(1997): JAMSTEC J. Deep Sea Research,Special Vol.,231−235,247pp