(議論14) 1905年の芸予地震の深さについて
この地震は、生存者の証言による震央付近における推定初期微動継続時間が長いことから、浅い地殻内の地震ではないと考えられる。被害が地盤の悪い場所にあった海軍の施設などに集中していることも、やや深い地震の特徴である。また、今村(1905)は、被害などの分布の明治東京地震との共通性を指摘している。宇津(1979)でも地殻内地震よりは深い、プレート上面の深さであるshallowとなっており、四国沖の南海トラフから沈み込んだフィリピン海プレートがこの付近で数十kmの深さに達することから、この地震の深さは数十kmと推定される。
(参考文献)
今村明恒(1905):震災予防調査会報告,53号,2−28
宇津徳治(1979):東京大学地震研究所彙報,54巻,2号,253−308