(6)桜島の地震(1914年1月12日、M7.1)

この地震は、桜島大正大噴火が始まった日(1月12日)の夕方に発生したため火山性地震とも言われているが、震源の位置から鹿児島湾西縁断層が動いた可能性もある。火山の大噴火に伴って、比較的大きな地震(M6クラス以上)が発生する例がいくつかあり、桜島の地震はマグマの貫入による圧力の増加により地下の断層運動が誘発されたものと考えられる{30}

 この地震は記録上において九州で最大規模の陸域の浅い地震(M7.1)である。しかし地震の大きさの割には被害の範囲は狭く(図9−18)、ほぼ現在の鹿児島市に集中しているが、国分市および喜入町でも数棟の住家全壊が報告されている。鹿児島市とその周辺では、家屋の全半壊などの被害が生じ、また石塀多数が崩壊した(図9−19)。家屋や石塀の倒壊により19名が圧死し、また避難中の10名が天神ヶ瀬戸の崖崩れにより死亡した{31}。鉄道被害も落石やレールの屈曲折損など多数に上った。