(2)奄美大島近海の地震(1911年6月15日、M8.0)
この地震は奄美大島の東方海域のプレート境界付近に発生した地震である。この地震は九州・沖縄地方における最大規模の地震であり、奄美大島や喜界島では震度6相当、沖縄島でも震度5相当の揺れがあったと推定される。有感の範囲は非常に広く、近畿地方でも震度2〜3とされている(図9−13)。この地震のタイプについては、有感の範囲が広いことや地震の規模の割に津波が小さかったことから、沈み込んだプレート内のやや深い地震とする考え方が有力{16}であるが、震源域の位置から浅いところで発生したプレート間の地震とする考え{17}もある。 喜界島では、死者1名、負傷者9名、全島の家屋2,500の内、401が全壊するなどの被害が生じた。奄美大島では家屋全壊が11に上り(図9−14)、多数の家屋が浸水した。徳之島でも死者5名などの被害が生じた。震源から300kmほど隔たった沖縄島南部でも、598ヶ所に上る石垣が崩壊して、1名の死者と11名の負傷者が生じた{18}。余震は順調に減少した(図9−15)。この地震の後にこの付近で発生した地震としては8月8日のM6.2の地震があるが、この地震が余震域で発生した地震かどうかははっきりしない。