(6)徳島県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

徳島県に被害を及ぼす地震は、主に南海トラフ沿いの巨大地震と陸域の浅い地震である。なお、徳島県とその周辺で発生した主な被害地震は、図8−32のとおりである。

 徳島県では、南海トラフ沿いの巨大地震のなかで、四国沖から紀伊半島沖が震源域になった場合には、津波や地震動による大きな被害を受けることがある。1707年の宝永地震(M8.4)や1854年の安政南海地震(M8.4)で大きな被害が生じたほか、1946年の南海地震(M8.0)でも、死者181名、負傷者665名、全壊家屋1,000以上、流出家屋500以上などの大きな被害{36}が生じた(詳細は8−1(1)及び8−2(1)参照)。なお、1960年のチリ地震津波のように外国の地震によっても被害を受けることがある。

徳島県の地形をみると、全域で山がちな地形であるが、北部では中央構造線に沿って吉野川が東に流れ、その河口付近に徳島平野が広がっている。県内の活断層は吉野川の北側をほぼ東西に走る中央構造線断層帯が主なものである(図8−33)。この断層帯は地形的にも明瞭であるが、ここでの活動に明確に対応する被害地震は知られていない。しかし、中央構造線は全国でも活動度が最も高い活断層の一つである。中央構造線断層帯のうち父尾断層については、活断層調査から最新の活動時期は16世紀後半と考えられ、慶長伏見地震と呼ばれる1596年の地震(M7 1/2)の際に活動したという指摘がある{37}。また、鳴門市沖における活断層調査によると、約2,500年から約3,500年前に断層にずれを生じたことが分かっている。なお、中央構造線断層帯の南側には、山地に沿って活断層と考えられる地形がみられるところもある。

 徳島県で発生した被害地震は、あまり多くない。1789年のM7.0の地震では、県南部の沿岸地方で家屋などへの被害や山崩れが生じた。また、1955年の徳島県南部の浅いところで発生したM6.4の地震では、随所で山(崖)崩れがあり、死者1名などの被害{38}が生じた。なお、1995年の兵庫県南部地震(M7.2)などのように周辺地域で発生した地震によって被害を受けることがある。

 徳島県付近における小さな地震を含めた最近の地震活動を図8−34に示す。

表8−6 徳島県に被害を及ぼした主な地震