(3)岡山県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴

岡山県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い地震と南海トラフ沿いの巨大地震である。なお、岡山県とその周辺で発生した主な被害地震は、図8−23のとおりである。

 岡山県北部には、中国山地がほぼ東西に伸び、その南側には吉備高原と呼ばれる標高600〜800mの低い山地が広がっている。図8−24は、岡山県の地形と主要な活断層を示したものである。県内の活断層は中国地方の中では最も少ない。岡山市北方の吉備高原には、確実度の高い畑ケ鳴断層、塩之内断層が点在するが、いずれも長さは短く、活動度も高くないと推定されている。そのほか、岡山県北東部(大原町付近)には、兵庫県から続く左横ずれの活断層である山崎断層帯が延びてきている。山崎断層帯では、868年の播磨の地震(M≧7.0)が発生したと考えられ{30}、岡山県にも大きな被害が生じた。しかし、この他には、県内で発生して大きな被害を与えた地震はほとんど知られていない。

また、1927年の北丹後地震(M7.3)や1943年の鳥取地震(M7.2)などのように周辺地域で発生した地震によっても被害を受けることがある。なお、遠く宮崎県西部における深い地震(1909年、M7.6、深さは約150kmと推定)でも、県内で全壊家屋が出るなどの被害が生じた。

 岡山県では、南海トラフ沿いの巨大地震のなかで、四国沖から紀伊半島沖が震源域となる地震で、地震動による大きな被害を受けることがある。例えば、1946年の南海地震(M8.0)では、児島湾北岸や高梁川下流域などの県南部で被害が大きく、死者51名や家屋全壊などの被害{31}が生じた。また、この地震に伴う津波が観測されたが、被害はほとんどなかった。1854年の安政南海地震(M8.4)では、より大きな津波が来たようである。

 岡山県付近における小さな地震を含めた最近の地震活動を図8−25に示す。

表8−3 岡山県に被害を及ぼした主な地震