(3)福井地震(1948年6月28日、M7.1)

この地震は福井平野の中〜東部を震源域として発生した陸域の浅い地震で、福井市で震度6が観測された(図6−20)。軟弱な地盤の広がる福井平野の集落では家屋の全壊率が100%に達するところも多かった(図6−21)。被害は、全体で死者3,769名、家屋全壊36,000以上に及んだ{24}が、その発生地域は福井平野およびその付近に限られる(図6−22)。その他、列車の脱線転覆もあり、また土木構造物への被害も大きく、鉄道・道路・河川などに関係する構造物に被害が生じた。さらに、福井市など福井平野の各地で火災が発生して焼失家屋数は3,800以上に達した。

この地震では、福井平野の中央部など震源域に近い地域では震度6であったが、家屋の倒壊等の被害が極めて大きかったため、この地震を契機にして、気象庁震度階級に震度7(家屋の倒壊が30%以上におよび山くずれ、地割れ、断層などを生じる程度)が追加された。福井平野の中・北部では、ほとんどの地域において住家全壊率が30%以上になっているため、ここでは震度7相当であったと見られる。福井地震は、軟弱な地盤上に広がる近代的な市街地のほぼ直下で起きた地震であり、このような地震は比較的限られた地域に甚大な被害を及ぼすことを広く認識させた。

 この地震では地表に目に見えるずれは生じなかったが、周辺での測地測量の結果、北北西−南南東方向の断層によるずれが福井平野の東で確認された。これは左ずれで、東側が相対的に最高約70cm降起し、西側が南に最大約2m近くずれた{25}

 この地震の有感、無感の余震回数は、図6−23のように減衰した。また、最大の余震は、本震の直後(6分後)に発生し、その大きさはM5.8であった。